PowerPoint 資料作成における 3 つのポイント
ビジネスソリューション事業部に所属しています S.H. です。
私は、これまで、数多くの提案資料、プレゼンテーション資料を作成してきました。その都度、お客様 (クライアント) からのご指摘、上司 (レビューワー) からのダメ出し、同僚からの意見や質問をたくさん受けてきました。これらの経験から PowerPoint で資料を作成する際に、実現すべき3つのポイントを挙げたいと思います。
ぜひ、SAP エンジニアから業務改善、要件定義を担う IT コンサルタントへ転換を図ろうとされている方々に、本ブログを読んでいただき、プロフェッショナル・ドキュメンテーションのお役に立てれば幸いです。
私たちの評価は、作成する資料で決まる
私たち IT コンサルタントにとって、目に見える唯一の生産物は、「成果物」 としての資料です。「成果物」 とは、その名の通り、「成果がある (あった) 物」 であることで、受け取っても成果を感じられないものは 「成果物」 とは言えません。作成した資料の良し悪しで私たちの評価が決まるといっても過言ではありません。
資料を作成する際、「①わかりやすい。②見やすい。③再利用しやすい。」 の3つのポイントを実現することが重要です。そのためのルールが存在し、それに従うことで成功する確率を上げることができるのです。
① わかりやすい資料作成
納品された資料は、お客様内部で私たちのプレゼンテーションや説明なしに、マネジメント層に展開されたり、他部門に展開されたりします。ですので、以下のことを心がけましょう。
- 眺めて理解できるものか?
- 忙しい人は読まない。
- 起承転結ではなく、「結」 から書く。
- アニメーションを使わないとわからないは、論外である。(原則、アニメーションを使用しない。)
- お客様が理解・納得できる 「言葉・表現」 で記載されているか?
- 「お客様用語」、「業界用語」 をしっかりと理解し活用する。「IT 用語」、「SAP 用語」 は、なるべく使わない。
- 抽象表現だけではなく、具体例等を活用して理解度を上げる。
- 検討メンバーは理解できたとして、他の読者が理解できるか?
- 会議や検討会では当たり前となっている事が、全ての読者にとって当たり前とは限らない。
- 但し、全てを説明すると表現が冗長になる。説明の粒度が重要である。また、注釈、参考を有効活用する。
ワンシート、ワンメッセージの原則
「一枚のシートには、一つのメッセージ」 としましょう。そのシートで伝えたいポイントをしっかりとメッセージすることが重要です。
自分の書いたメッセージラインを3回は読みかえし、メッセージが混同している場合は、メッセージごとにシートを分けましょう。
ワンシート、ワンメッセージでは無い例
まずは、まとめ (結論) から
視覚的に効果のある全体まとめ (結論) を作ってから、詳細説明するほうが、受け手の理解が深まります。
まとめシートから詳細説明シートへの展開
軸やマトリクスの活用
軸やマトリクスを活用すると、わかりやすさが増すだけではなく、オブジェクトの位置や色等で意味を補足することも可能となります。
軸やマトリクスの活用例
② きれいで見やすい資料作成
オブジェクトの配置、サイズ、並べ方、色を考慮することで、きれいで見やすい資料を作成できます。
オブジェクトのバランスと大きさ
シートの中において、オブジェクトの位置のバランスが崩れていると、読み手・聞き手に不快感・不安感をもたらします。
オブジェクトのバランスが大事
オブジェクトの大きさが違う場合、読み手・聞き手は、「何か違いがあるのか?」、「大きいものが重要なのか?」と想定してしまいます。並列表記で重みの差が無い場合、スペースが空いたとしても、オブジェクトの大きさは揃えるべきです。
オブジェクトの縦横を揃えた例
動線
日本、欧米等、文字を左から右に書く文化圏では、読み手・聞き手の目線は、左から右、上から下と流れるのが自然です。レーザーポインタの使用を前提としないようにしましょう。
動線は、左上から右下へ
左右の対比、流れ
基本的に、古いものが左で、新しいものが、右です。ちなみに、サプライチェーンは、供給側が左で、需要側は、右がわかりやすいです。
新旧対比の例
③ コンテンツの再利用を考慮
編集が容易であることを目指して資料を作成しましょう。
- 私が過去所属した会社では、コンテンツの再利用率 50% を目指して、情報共有、ナレッジ管理が行われていました。コンテンツ提供に貢献してアワードをもらったことがあります。
- 再利用されるコンテンツは、メッセージ、論点がはっきりしています。
作成ルール
最低限、下表の4つのルールは、守ってほしいです。
最低限守るべき 4 つのルール
統一性の維持
統一性を維持するために、スライドマスタ、テンプレートを活用するべきです。プロジェクトごとにお客様と合意したテンプレートを準備しましょう。
最低限統一すべき 4 つの要素
その他の推奨事項
- 表を作成するときには、ボックスの組み合わせで作ることが望ましいです。なぜならば、表オブジェクトは、他のオブジェクトに合わせて大きさを変えたり、色を変えたりする作業がやりにくいからです。
- 細かな微調整が必要となるオブジェクトサイズは、用いないほうがよいです。私は、小数点第1位までで、偶数に揃えています。
最後に
資料作成には、スピードも必要です。ツールバー、アクセスキー、ショートカットキーを活用しましょう。
今回は、PowerPoint について書きましたが、Excel についてもひとこと言わせてください。幅を 1mm 程度でセルマージなしのシートを仕様書のテンプレートにしているのを見たことがあります。非常に作成しにくいし、メンテナンスしにくいです。Word か、PowerPoint で書けばよいのでは?なぜ Excel と思ってしまいます。