SAP S/4HANA Cloud の購買・在庫管理ソリューション

プロアクシアコンサルティングでは SAP S/4HANA Cloud, Public Edition のご紹介・ご提案から導入のご支援までご提供させていますが、本ブログでは SAP S/4HANA Cloud における ”購買・在庫管理ソリューション” について、その特徴および機能概要を説明します。

目次

  1. 購買・在庫管理ソリューションの特徴
  2. 購買・在庫管理ソリューションの主要サブモジュール
  3. まとめ

購買・在庫管理ソリューションの特徴

世の中には様々な購買・在庫管理システムが存在していますが、SAP S/4HANA Cloud, Public Edition の購買・在庫管理ソリューションには以下のような特徴があります。

様々な購買・在庫業務プロセスへの柔軟な対応

購買管理

各種購買対象や業界特有の要件に標準で対応しており、業務要件に合わせて、柔軟にプロセスを組み立てることが可能です。
資材やサービスの購買契約から発注、入庫、請求書の受領まで購買の一連のプロセスをサポートします。

在庫管理

種々の在庫の入出庫管理や棚卸管理の業務に対応しており、共通の品目コード・プラント/保管場所によるロケーション管理によるタイムリーな在庫状況把握・在庫状況の可視化は、在庫管理の適正化に寄与します。
また、現在庫数や発注/生産予定数、受注残となっている所要数を考慮した必要な在庫数をシステムで自動算出し、発注点方式や需要予測方式に基づいて発注・生産計画を提案します。

監視・分析

購買ワークフローや RPA による自動化、例外通知、機械学習による予測など、購買業務の見える化とユーザ業務を支援します。

リアルタイム経営

購買前の工程からサプライヤへの発注から請求書の処理、支払に至るプロセスが会計ともリアルタイムに統合・処理される為、現場から経理までタイムリーな情報連携、リアルタイムな経営管理が可能となります。

スピーディーで継続的な機能提供

SAP S/4HANA Cloud, Public Edition では、SAP が提供する最新技術がアップグレートの形で提供されます。
例えば、データサイエンスやプロセスの知識が必要であった機械学習や AI 機能が今後は自動的に有効化されるなど最新技術を取り込んだ機能を SAP が開発して提供されます。

購買・在庫管理ソリューションの主要サブモジュール

購買・在庫管理ソリューションを構成するサブモジュールのうち、一般的に使用されるものは以下の通りです。

購買依頼

依頼部門の担当者が購買部門への購買依頼を行う為に伝票を作成します。
マニュアルで伝票を登録するだけでなく、受注や製造現場からなどの需要情報を元にした MRP 実行よって自動登録されたり、個々の受注に対して固有の購買依頼が自動登録させて購買依頼を行うこともできます。

購買発注

購買部門からサプライヤに対する正式発注の内容に基づいて、納入品目・数量・納期等の情報を購買発注伝票として登録します。
購買発注伝票は、先行伝票である購買依頼や見積回答を参照して登録することもできますし、またマニュアルで作成することも可能です。
在庫品だけでなく、サービスや固定資産、外注加工、経費調達など、様々な購買業務にも対応しています。
また、外部の取引先だけでなく、社内のプラント間の在庫転送への指示目的にも使用することができます。

出荷通知・入荷伝票

サプライヤより事前に出荷通知を受領する場合は、購買発注に対して入荷伝票を登録しておくこともできます。
入荷伝票を通じて倉庫への入荷作業の指示を行い、後述の入庫・検収を入荷伝票に対して実施することが可能です。

入庫・検収

購買発注に対してサプライヤから納入された実績に基づいて、入出庫伝票を登録します。
購買発注を参照して入力できるため、発注時の情報と実際の納品状態が一致しているか否かを確認できます。
入庫アクションにより即時在庫として認識され、後続の検品作業や出荷業務、生産現場で使用可能となります。
また、同時に会計伝票も登録され、経理・経営層側での棚卸資産や費用情報をリアルタイムな把握に寄与します。

請求書照合

サプライヤから受領した請求書に記載されている内容を確認、発注・入庫情報と照合します。
サプライヤ請求書の情報を登録すると、入庫・検収と同様に請求書は会計伝票へも自動転送され、債務管理部門においてリアルタイムに債務状況の変動を認識することができます。
債務担当者はこれらの債務状況を把握して、債務の支払期日管理や支払業務を行うことになります。

また、購買発注・入庫情報を基に自動で請求書を登録する機能も備えています。
発注・入庫をベースにしている為、請求書業務の効率化、入庫との価格・数量の整合性を担保します。

ワークフロー機能

シングル/マルチステップの承認プロセスの構築を通じて内部統制の強化を図ります。
見積依頼/購買契約/購買依頼/購買発注/請求書照合などの購買プロセスにおけるワークフローがサポートされています。

購買管理分析

購買管理情報のダッシュボードが提供されており、仕入先による納期回答の漏れのチェックや購買履歴からの仕入先評価など、購買業務の可視化・分析に役立ちます。

在庫管理

各種業務の状況をリアルタイムで反映する為、タイムリーな在庫状況の更新・把握、意思決定を実現します。

基本的な在庫管理の考え方

プラント・保管場所といったロケーション単位、および品目単位に加えロットやシリアル番号管理など、さまざまな条件下で在庫数量を把握することが可能です。
プラントは数量管理と同時に在庫評価の単位にもなる為、工場別に在庫評価を個別に行いたい場合は、複数プラントに分割管理するといったことも検討できます。
他には、出荷や消費に即時利用の可否や品質検査中などの状態別の在庫数の管理や、外注加工先への部品支給などの在庫状態・数量も把握できます。
※倉庫管理機能との連携により、倉庫内の棚番レベルでの在庫管理や、作業者に対して倉庫内のタスクの指示や予実管理などを行うことも可能です。

入庫/出庫伝票

入出庫伝票の登録により、SAP 上で在庫数量に反映されると同時に、財務会計へも金額の増減も反映されます。
入出庫のパターンとしては拠点間の在庫移動や在庫の状態変更、在庫の廃棄処分や部門での消費、棚卸の増減など、が挙げられます。
また、在庫管理は各業務とも密接に結びついており、購買発注に基づいて納入された実績や、受注に基づいて出荷された実績、内製による部材の消費・製品の完成や副産物の実績など、各種業務の状況がリアルタイムに連携されて在庫情報および財務会計情報へ反映されます。

入庫/出庫予定

倉庫の入出庫の予定を管理し、倉庫への作業依頼の為の伝票として用いられます。
マニュアルで作成することは可能ですが、所要に基づいた MRP の実行により入出庫予定を自動生成させることもできます。

実地棚卸

現場への実地棚卸の指示から在庫凍結、実地棚卸の件数結果入力と棚卸差異の記録までの一連の棚卸業務をサポートします。
現場ではモバイル端末の利用した品目スキャン・件数入力もフォローしており、棚卸業務の効率化を実現します。
※棚卸についても倉庫管理機能との連携により品目・棚番毎に実地棚卸処理を実行することが可能です。

在庫分析

在庫管理情報のダッシュボードが提供されており、入出庫の履歴や棚卸結果の把握、滞留在庫の分析などに役立ちます。
更に、詳細な品目やプラント別の在庫の内訳や個別の入出庫伝票へとドリルダウンしていくことで、全体から個々の受払の状況までの把握が可能です。

まとめ

SAP S/4HANA Cloud, Public Edition における購買・在庫管理ソリューションの特徴と機能についてご説明してきましたが、これらの機能を活用することにより、販売や購買、生産業務とシームレスに情報が連携され、正確かつタイムリーな在庫状況の把握が可能となり、効果的な在庫管理を実現することができるでしょう、
また、在庫の現状とを所要量の予測を分析し、適切な発注業務をサポートします。
発注業務は、発注~請求書・支払までの一連の購買プロセスを統合的に管理できる為、業務効率化を実現します。
債務や在庫などの情報の円滑な部門間での連携を促し、またリアルタイムな連携による迅速な経営判断にも寄与します。

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