ロジカルシンキングでコミュ力アップ

ビジネスソリューション事業部に所属しています S.H です。

私は、これまで約100社への SAP システム導入に関わる提案活動、上流コンサルティングに従事してきました。これらの中で、お客様に的確にメッセージを伝えるため、常にロジカルシンキングでものごとを整理することを意識してきました。

定義済のシステム要件を基に SAP システムのパラメータ設定、追加機能の設計を行っている SAP エンジニアから業務改善、要件定義を担う IT コンサルタントへ転換を図ろうとされている方々に、特に読んでいただきたく、筆を執りました。

少しでもお役に立てれば幸いです。

なぜロジカルシンキングなのか

ロジカルシンキングは、お客様とコンサルタントが共通の認識をもつことを容易にし、それを確実なものにします。つまり、お客様から出されたファクト、意見、要望、時には夢?をコンサルタントがロジカルシンキングで整理することで、お客様が言いたいことが明確になり、コンサルタントが言いたいことがお客様に確実に伝わるということです。

ロジカルシンキングは、コンサルティング業務のあらゆるシーンで効果的に活用されます。

図.1 ロジカルシンキングをあらゆるシーンで有効活用

ロジックツリーで情報を構造化せよ

下記のメールを読んで、内容が容易に把握できますか?
このような報告だと、受け手は、何を伝えたいのか把握できなかったり、誤った解釈をしたりします。

図.2 とある報告のメール

そこで、ロジカルシンキングの手法である情報のロジックツリー化を用いて、表に整理してみました。いかがでしょう。伝えたいことが明確になりますね。

表.1 とある報告を表で整理した例

6/25の状況プロジェクト作業当初完了予定日完了予定日
遅れA社品目マスタ定義6/267/2
前倒し仕入先マスタ定義6/276/26
予定通り得意先マスタ定義7/27/2
予定通りB社得意先マスタ定義7/27/2
予定通り受注機能要件定義7/107/10

それでは、情報のロジックツリー化を実践していく上での術である 「縦の呼吸」 と 「横の呼吸」 を説明していきます。

図.3 情報のロジックツリー化

ロジックツリー化の術 – 縦の呼吸を習得せよ

縦の呼吸の極意は、話が飛ばないようにすることです。
複数のメッセージをグルーピングし、それらから 「要約メッセージを探す」 いう帰納法で結論を導き出す方法と、ある1つのメッセージについて、その根拠や説明となるメッセージの 「グループを作る」 という演繹法で前提から妥当と思われる結論を導き出す方法があります。
両アプローチに優劣はなく、お互い補完させて使用します。

図.4 帰納法と演繹法

次に、以下の点をチェックしてみましょう。
起きている事象を読み解いて、メッセージ (原因と結果) を因果関係付けたつもりでも、落とし穴にはまっていることがあります。

  • 原因と結果が逆になっていないか?
  • 別の因果関係が隠れていないか?
  • 相関関係 (一方が変化すると他方も変化する) ではないか?
  • 偶然の一致ではないか?

図.5 因果関係のチェック

ロジックツリー化の術 – 横の呼吸を習得せよ

MECE という言葉をご存じでしょうか。Mutuality Exclusive but Collectively Exhaustive の略で 「漏れがない、かつ重複がない」 状態を示します。これが、縦の呼吸の極意です。
情報をツリー化して、同じレベルのメッセージが、MECE の状態になっているかをチェックする必要があります。

コツとしては、レベル間の整理 (レベルごとに同種のものでまとめる) をして、一般的なフレームワークでメッセージを構成することです。その際、ある基準で順序立てすると要約メッセージを導き出しやすくなります。

下図は、MECE になっていないことがわかりますか。

図.6 ロジックツリーの MECE チェック

最後に

弊社のコンサルティングメソドロジーとして、「ENGINE」 があります。本ブログで説明したロジカルシンキングを背骨として体系化されています。

グローバル共通のツールとして、弊社のコンサルタントに広く活用されており、お客様に高品質なサービスを提供することに役立っています。