成長途上の BI ツールとの付き合い方

プロアクシアコンサルティングでオープンソリューション事業部に所属しています U.A です。
今日は、BI ツールとの付き合い方について紹介していきたいと思います。

プロアクシアでの役割とこれまでの経験を教えてください

IT 関係の仕事に従事するようになってから、小売業向けの基幹システムの開発や音声系アプリの開発など、オープン系の色々な分野で開発業務に従事していきました。

プロアクシアコンサルティングには入社以前からビジネスパートナーとして案件に参画するなど関連があり、4年前に入社いたしました。現在はオープン系の開発や環境構築の業務だけでなく、PM や PMO などマネージメント関係の業務も担当しております。

オープンソリューション事業部では、どのような技術分野・案件を担当してきましたか

特定の決まった分野だけを担当しているのではなく、色々な分野のシステム開発を担当しています。
その中でも、音声関連の案件に比較的多く参画しており、音声認識翻訳合成サーバーの構築や運用。また、音声認識用辞書作成アプリケーションの構築、国際ロボット展での展示用音声認識ツールの開発などを担当してきました。

最近では医薬品企業の顧客管理システムのリプレースや、医療情報担当者の活動情報可視化の開発を担当しており、活動情報可視化を行うにあたり、BI ツールでの開発を行うようになりました。

データ解析ではどういった環境を利用して構成していますか

データ解析を行うためには、データを蓄積するための DataWarehouse(DWH)、データを連携するための ETL ツール、レポートやダッシュボードを開発するための BI ツールなどが必要になってきます。

最近はクラウドシフトしてきていることもあり、すべての環境をクラウド上に構築しブラウザを利用して BI ツールのレポート参照する構成が一般的になってきております。現在担当していますお客様でも、AWS 上に Redshiftを利用した DWH 環境と BI ツールの Yellowfin の Web/AP サーバーを構築して利用しています。

データ解析を行うための環境は、利用が進むにつれて扱うデータ量も増加しますし、利用者やレポートが増加することで解析する側のサーバー負荷も上昇すること多いので、サーバー環境のスケールアウトを行いやすいクラウド上に環境を構築することが適していると思います。

どのようなデータ解析を行っていますか

現在担当していますお客様では、医療情報担当者や経営戦略部向けのデータ解析を実施しています。

CRM のデータを利用して、医療情報担当者向けには担当者自身の面談やディテールの実績と実際の売上実績を相互的に分析し、営業戦略部向けにはターゲットとする医療機関への実績状況分析などを行っています。

最近のデータ解析の傾向やトレンドについて

以前のデータ解析では、ユーザーからの要望を元に情報システム部門がレポートやダッシュボードを開発してユーザーに提供する形態で利用されるのが主流でしたが、最近は DWH 部分だけを情報システム部門が提供し、ユーザー自身がレポートを作成する市民開発が多くなってきています。
これに伴い、BI ツールは操作性のいいインターフェースやレポートの自動生成機能の実装など、より市民開発者に簡単に利用してもらえるように機能強化がされています。

また、技術面では AI や機械学習などのテクノロジーを利用した、拡張アナリティクスの充実があります。
拡張アナリティクスを利用することでデータアナリストがより迅速、効果的、かつ正確に作業を行うことが可能になります。機械学習および自然言語テクノロジーを利用することで、データ分析に必要な技術の敷居が低くなり、一般ユーザーでも高度な分析を行いやすくなります。
今後は BI ツールに AI の概念が取り入れられ、BI ツール側から自動でインサイトを行い、ユーザーに分析の仕方などの提案を行うようになっていくと思われます。

データ解析環境の構築時に検討すること

データ解析環境を構築する際は、日々大量のデータを扱うためパフォーマンスを考慮した設計が重要になってきます。

BI ツール側の機能で色々なことが実現できるからといって、DWH 側の設計を怠ると目的の指標を得る為に複雑な構成になったり、レポートを作ってみようとしたら作れなかったりというったことに直面することになります。
DWH 側でも、より多くの切り口でデータ解析できるようにデータをそろえることは重要ですが、目的別に大量のテーブルを構築してしまうと、DB 容量が肥大化したり日々実行されるデータの集計処理が長時間になるなど弊害も発生します。

このため、設計段階で日々のデータ処理を BI ツールと DWH のどちらで行うのか明確に切り分け、BI ツールで利用する指標や指標の組み合わせに適したデータ形式で出来るだけ DWH 上に保存するよう検討する必要があります。事前にデータを成形することで BI ツール側での集計処理や計算処理が削減でき、レポートを作成する際のサーバー負荷を軽減することができます。
また、処理時間を抑えるためには、他システムからのデータの取得順や夜間バッチ処理でのデータ処理順を効率的に行えるように検討することも重要です。

システムの安定稼働の観点では、クラスタリングやスケーリングについて考慮する必要があります。

クラスタリングについては、単純にサーバーを多重化する構成もありますし、重要度に合わせてマルチローケーションでクラスタを構築することも検討可能です。クラウドサービスを利用することで、比較的容易にクラスタ構成も構築することができます。

スケーリングについては、特にスモールスタートで導入する場合などは、利用開始後に急激にデータ量や利用数の増加が見込まれる場合もあります。このため、導入段階でにスケールアウトできるように事前準備をすると共に、運用が安定するまではパフォーマンスを監視しながら適切なタイミングでスケールアウトを実施する必要があります。

導入後の運用時で心がけること

BI ツールが利用されていくなかで、どのような事柄がユーザーの課題となってきているのかをいち早く把握する必要があります。

BI ツールは通常の業務アプリケーションとは異なり、データ解析を行う側も日々検討しながらレポートの作成を行っていますし、ビジネスで必要となってくる情報も刻々と変化してきます。
このため、常に改善を繰り返しして運用していくことになので、利用目的に応じて DWH の組み換えや BI ツール側の階層構造変更など、ユーザーの抱えている課題の解決に注力する必要があります。

BI ツールとの付き合い方ついて

ビジネスを成功させるための手段としてデータ解析の重要度は高く、柔軟かつ迅速に解析できるようになることは変化の激しいビジネスにおいても成長に大きく貢献します。

このためには、従来の情報システム部門だけで開発担当するのではなく、現場のユーザーが中心となった市民開発を推進することが重要です。市民開発を成功させるには、各部門で市民開発のリーダーとなるユーザーを育成すると共に、開発手法などのナレッジベースやテンプレートを拡充し、ユーザー同士で技術共有できる環境を充実させることが必要です。

また、市民開発を技術面で支えるためには、情報システム部門でも高度な技術を習得するのと合わせて、導入ベンダーや製品のサポート部門と連携したサポート体制を充実させ、ユーザーが技術的な問題で困った際に速やかにフォローできる環境を作ることも重要です。

BI ツールもクラウドシフトすることで早いサイクルでの開発が行われており、AI や機械学習などのサービスと連携したより強力な機能が提供されるようになってきています。これらの、新しい機能についても情報システム部門で率先して検証/評価を行い、ユーザーへ技術連携していくことで、より多くの場面での利用が促進されると思います。

市民開発を促進する際の課題として、作成されたレポートの保守やデータ解析の精度などがあげられます。

レポートの保守については、レポートの作成者がいなくなった場合に問題化しますが、情報システム部門ですべて対応するのは難しいです。このため、発生した問題をすべて対応していくのではなく、必要なレポートは必要なタイミングで新しく作成する方針として、ある程度割り切った運用をするのも一つの方法だと思います。

データ解析の精度はとても重要な項目です。不正確なレポートを利用するとビジネスへ影響がでますし、データ解析の信用が低下し利用促進の足かせになります。このため、ユーザーがレポートをリリースする前に評価/検証するためのフェーズを徹底し、情報システム部門もユーザーと協力しながら精度を高める運用を組み込むのが必要だと思います。

今後どのような案件に携わっていきたいと考えていますか

ポジションとしては中堅からベテランという範囲に進んできてますので、今後は開発だけを担当していくのではなく、大規模な案件にプロジェクトマネージャーとして参画できればと考えております。

自分だけで活躍するのではなく、周りの技術者と連携しグループとしてより大きな活躍ができるように、マネージメントの観点から支援していければと考えています。

今後エンジニアとして、どのように成長していきたいとお考えていますか

大事なことは、自分に苦手な分野を作らないことです。何歳になろうとも、知らなければ学べばよいという姿勢で多岐に渡る案件にて活躍できるエンジニアになりたいと考えています。

技術面も理解したマネージャーを目指すことで、開発者からも信頼して相談してもらえるようになりたいです。